数字で見れば近いようであっても、同じ顔の表と裏ではまるで違う。
トンネルを抜けると、ここは、柔らかに暖かい。
気象情報では同じような温度であっても、
肌に受けるお日様の具合が、違う。
秋田での、暑さの底に潜んでいた冷ややかな風は山を越えず、
ここには一枚の温度がある。
こうして、その国、その地域での、感じられる風、空気があるのだろう。
その空気の中で生まれた文学、文化、
いつかは、その風を追いかける旅をしたいと希み、
生身の肌に感じたいと思っては来たが、
人生、予測通り、予定通りには運ばず、
今もそれは遠い先にある。