宿命・魔法使い
映画「砂の器」をDVDで見ました。松本清張原作でハンセン氏病の親子の人生を縦糸に、東北弁に似た方言というか、発音が出雲にもあるなどのいくつかの仕掛けというか、謎を散りばめていて興味深くみました。出演している俳優の多くが鬼籍の人になっていますが、加藤剛さんぐらいが健在なのでしょうか。テレビドラマなどでも放送されましたが、映画の視点・映像は人の抱えるかなしい深みを強烈に訴えてきます。
久しぶりに晴れました。昨日は国会周辺で脱原発の集会が開かれたことをマスコミも伝えています。6万人の参加だったそうです。原発の問題と同時に憲法も問題になっています。松本清張氏はかつて政党の共闘のための懸け橋としても尽力されたことも思い出しました。今は、大江健三郎さんなどが努力されているのでしょうか。
「(声)96条改定は魔法使いと同じだ 54歳
憲法96条を改めることに反対する憲法学者らが「96条の会」を結成した。発起人である有識者の中には、改憲論者も含まれているという。
私が小学生の頃、一度だけ魔法が使えるとしたら、何に使うかを同年の男女と話し興じたことがあった。「街中を花でいっぱいにする」「すき焼きを毎日食べる」など出尽くした後、利発な子が「魔法使いにさせて下さいといって魔法使いになる」と言った。みんなは「すごい、魔法使いになった後で、どんどん魔法を使えば何でもできちゃうね」と盛り上がった。
「花」は戦争の放棄をうたった9条、「すき焼き」は個人の尊重や幸福追求権を定めた13条とすると、国会の改憲発議要件を3分の2から過半数に改めようとする96条改定は、さながら「一度だけ魔法が使えるとしたら何に使うか」のクーデターのような答えとして、魔法使いになることと同意に思えてきた。
おとぎ話ではなく、現実のこと。魔法使いと違うのは、たかが、それだけ。されど、先の大戦を体験した方が語った「戦争なんて、だれも内心は喜んでいなかった。しかし、気がつけば、それが言えない世の中になっていた」との言葉を思い出さずにはいられない。」(5月31日朝日新聞投書より)
96条改正は9条改正をして国防軍創設につなげたいのだという。それは、基本的人権の制限も含んでいます。